福田繁雄大回顧展
2012-03-30


「福田繁雄大回顧展」を広島県立美術館へ観に行く。

笑いと驚き、そして感動の展覧会だった。

禺画像]

会場に入ると、「フクダのヴィナス」が出迎えてくれた(※写真は全て撮影可能な作品)。

誰もが知っているヴィーナス像に陰影をつけて、なんと自分像にしてしまっているのだ。

像の右側から見ると黒いヴィーナスにしか見えないのに、正面から左に立って見るとあら不思議、もう福田氏にしか見えない。

彼の写真と見比べてみると、そっくり! 視覚のトリックに驚く。


このシリーズで他にも多数展示されていたが、中でも「国芳のヴィナス」には拍手喝采したくなった。歌川国芳の「みかけハこハゐがとんだいい人だ」をヴィーナス像に描くとは、考えもつかない。眉目秀麗な顔が、裸の男たちで作られた滑稽なだまし絵にしか見えなくなってしまうから、美の女神も形無しである。

福田氏のこんな言葉が紹介されていた。

「僕がモナリザやミロのヴィーナスをよく引用するのは、世界中の人がそれを知っているからです。『知っている』ということは、コミュニケーションの半分以上をもう捉えているんですね。」

ただ単にユーモアと視覚のトリックを狙っているのではなく、万国共通の言語としてヴィーナスを用いているとは、なんとも奥深く感嘆することしきりであった。

禺画像]


続きを読む

[美術館巡り]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット