2016-01-06
映画「杉原千畝(すぎはらちうね)」を観た(ネタバレがあります。辛口の批評をさせて頂くことをご了承ください)。
主演の唐沢寿明さん、ペシュ役のボリス・シッツさんの演技は、素晴らしかった。
しかし、全体的に物語の構成が間延びしているというか、どこを一番強調したいのかが、ぼやけた印象を受けた。
杉原氏がユダヤ難民にビザを発給する肝心な場面が、意外とあっさりと終わり、物足りなさを感じてしまった。
杉原氏の奥様の話だと、リトアニア領事館が閉鎖され、汽車が発車する間際まで、杉原氏はビザを発給し続けたとのこと。
しかし、映画では実に静かな旅立ちだった。
その後、欧州の各地を転々と赴任する杉原氏が描かれており、外交官としての足跡をダイジェストで描いた、という印象を受けた。
戦後、杉原氏を探し続けたユダヤ人と杉原氏の再開のシーンも事実と異なり、あっさりしすぎて残念だった。
全てノンフィクションにする必要はないけれど、フィクションにするのなら、重要な場面は事実と同等か、それ以上に劇的なものにしてほしかった。
とは言え、高潔で正義感が強く、人道主義の杉原氏の人柄は、よく伝わってきた。
また、ユダヤ人が凄惨な迫害を受けたことや、ビザを発給されて歓喜に震えた心情は、丁寧に描写されていたと思う。
10年以上前に見た「世界ふしぎ発見!」で、初めて杉原氏のことを知り、感動したことを覚えている。
そのため、映画への期待が大きすぎたかもしれない。
また、2005年に放送された、反町隆史さん主演のドラマ「杉原千畝物語 六千人の命のビザ」(TBS)の印象が強いせいか、映画が少し物足りなく感じてしまった。
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